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拝啓、15の自分へ vol.1

2018.08.18

15の自分へ。

毎晩、ベッドの中で考えてるよな。
なんで自分だけ、こんなふうに生まれてきたんだって。

なんで、穿きたくもないスカートなんか穿いて、学校行ってんだって。
なんで、好きな子の話もできないんだって。
なんで、女の身体してるんだって。

メンズの服着ても、髪の毛短くしても、筋トレがんばっても、
「ボーイッシュな女の子」以上にはどうやったってなれなくて。

かっこいいって言われたって、それは「かっこいい女の子」に対して発せられている言葉だし、
男だったら彼氏にしたいって言われたって、それは「男じゃない」ことを再認識させられる言葉でしかない。

部屋から一歩出たら、そんな気持ちを押し殺して、偽りの自分で笑って過ごす。
好きな男の子いないの?って聞かれても、ヘラヘラ笑って、「今は部活だけしてればいいかなー」なんて言いながら。

その苦しさは、どんなに楽しいできごとがあっても、消えないよな。
まるで、自分の周りに一枚、みえない膜があるように感じてた。
自分のほんとうの味方なんて、どこにもいないと思ってた。

でも、大丈夫。
10年も経てば、いまのきみの想像をはるかに超えた、楽しい日々が待ってるよ。

だから、一生こんな思いをしながら生きていくのか?なんて、思わなくていい。
一回死んで、男に生まれ変わる、なんて、考えなくていい。

きみは、両親からの愛情を考えたことがあるか?

お父さんは、家族のために毎日一生懸命働いている。
住み心地の良い家、勉強や部活の道具、誕生日プレゼント、家族での旅行。
全部、お父さんが働いて手に入れてくれたんだ。

お母さんは、毎日おいしいごはんを作ってくれる。
汗まみれの部活着も文句ひとつ言わず洗濯してくれる。
学校から帰ったら、ニコニコしながら話を聞いてくれる。
これで愛されてないなんて言ったら、バチがあたる。

だから、こんな最高な二人を悲しませるようなことだけは、ぜったいに考えるな。



じゃあ、なにを根拠に「大丈夫」って言っているのか?
31歳のいま、どんな生活をしているかを教えよう。

きみの憧れの、東京の広告会社で働いている。
それとは別に、仲間と会社を立ち上げたり、文章を書く仕事にもチャレンジできている。
それなりに食べたいものを食べられるくらいの収入がある。
雑誌に載っていたような服も着られるようになった。
サーフィンにハマって、毎週末仲良しのメンバーで海に通っている。
彼女もいる。

そして、一番気になるであろうところ。
見た目も、体も、戸籍も、男になれた。
もちろん、社会的にも。

トイレは男子便所だし、着替えも男子更衣室。健康診断だって男性フロアだ。みんな、「男扱い」してくれる。(見た目が完全に男だから、あたりまえなんだけど)
わざわざカミングアウトしない限りは、だーれも、気づかない。

「くん付け」
で呼ばれたいなあ、って思ってたよな。
ふつうに呼ばれるから。いま。
本当に、生きやすい。



次に、これからの人生を考えたときに、
不安になるであろう場面で「大丈夫だった」経験を伝えよう。

男として生きたいと願いながらも、
こんなんで社会に出て生きていけるのか?って思ってたよな。

サラリーマンでやっていけるのか?
でも、自分を受け入れてくれる会社はないよな…

もしかしたら、タレントみたいになれば、イロモノ枠で食っていけるんじゃないか?
いやいや、イロモノとして扱われるのはごめんだし、何しろビジュアルがタレントレベルじゃない…

とび職とかになれば食っていけるかも。
うーん、あんまりイメージがわかないし、若い時はいいけど年とっても続けられる仕事なのかな…

15歳なりに、いろいろ考えては、絶望してたよな。
ほんとうの自分は、誰にも受け入れられるはずがない。
家出して、誰も自分のことを知らない場所でゼロから始めようか、って。

でも、こんな感じで本当に「大丈夫」だった。

・お父さんとお母さんへのカミングアウトは、高校の卒業式後に、手紙で。「何があっても、あんたはうちの子やけん。あんたの味方でいるよ」って言ってくれた。大丈夫だった。

・大学2年の夏、友達みんなにカミングアウト。誰一人として離れていく人はいなかった。

・名前を変えるとき、お父さんとお母さんが新しい名前を考えてくれた。

・わりと保守的な人の多い親戚の前で、お父さんが名前のことやセクシュアリティのことをみんなに説明してくれた。これは本当にうれしかった。

・就職活動用のスーツを、ばあちゃんが買ってくれた。もちろん、メンズのスーツ。

・就職活動中も、面接時にすべてカミングアウト。それでも内定をくれる会社があった。(その後2回転職するけど、そのときも同様)

・妹は、妹の友達にも僕のことをふつうに兄ちゃんとして紹介してくれる。

・好きな子ができたら、付き合う前に正直に話すようにしている。でも、セクシュアリティが原因でフラれたことはない。

ね。大丈夫なんだよ。不思議なことに。



じゃあ、どうやって「大丈夫」な人生をつくっていくか。

大切なのは、
・人生は自分次第だとを心の底から自覚すること
・勇気を持つこと
この2つだけ。

大丈夫、って言い続けているけど、
自分で何もしなかったら「大丈夫」にはならない。

でも、血のにじむような努力をした覚えはない。興味を持ったこと、やりたいなと思ったことに向かって行っただけ。

きみは、自分が思うよりみんなに愛されている。
だから、自分がこうしたい、こう生きたい、を、怖がらずにちゃんと説明しよう。
自分がどう感じていて、これからはこうやって生きていきたい、と。
そして、その言葉に伴った行動をすれば、みんな応援してくれるよ。
お父さんお母さん、妹もばあちゃんも、みんな。
すべては自分次第だ。


15の自分へ。

今は、辛いことばかりに目が向いて、
人生辞めたいって思ってしまっているかもしれない。

だけど、一度立ち止まって、両親の愛情や、目の前にある幸せを見つめなおしてみてほしい。
その上で、どうやって生きていきたいか、しっかりと考えるんだ。

そして、その考えを、大切な家族や友達に話してみよう。
話して、行動してみよう。
みんなに愛されて、みんなを愛しているきみなら、大丈夫。
ぜったいに応援してもらえる。

正しく、明るく、愛を持って生きていけば、大丈夫。
それと、まわりへの感謝の気持ちと優しさを忘れずに。

人生は、たのしいぞ。



31の自分より。

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