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ジェンダーフリーなシェアハウスに行ってみた

2018.09.04

住まいのあり方のひとつとして、今やすっかり定着したシェアハウス。家賃を抑えつつ、家に帰れば語らう仲間もいる充実の毎日!なんて憧れている人も多いはず。

とはいえ、家はくつろげてナンボ。職場や学校と違って素の自分をさらけ出す場面も出てくるだけに、実際にシェアハウスに住んでみる?となるとLGBTQ+にとってはなおさら二の足を踏んでしまうところでは。

ひとつ屋根の下、もしも住む人全員がジェンダーフリーな者どうしだったら…。実際にそんな暮らしが営まれているシェアハウスが竹ノ塚にあると聞きつけたPalette編集部が、現地を訪ねてみた。

(インタビュアー:furuya daisuke)

日々の暮らしは、順調。


東武線竹ノ塚駅から歩いて10分ほど。駅周辺のにぎわいを通り抜けすっかり落ち着いたようすを見せる住宅街の一角に、シェアハウス「Casa Arco Iris TAKENOTSUKA(カーサ・アルコイリス竹ノ塚)」はある。

スペイン語で「虹」を意味するアルコイリス。名前からして象徴的なこの物件にはLGBTQ+の当事者、それにアライも含めジェンダーフリーなマインドを持った人が入居できる。現在はゲイの男性4名とストレートの女性 1名、計5名がここで住まいをともにしている。

このとき迎えて入れてくれたのは、3ヶ月前に入居したばかりのCDさん(仮名。上画像右)と、この物件が出来て間もないころから1年半ほど住み続けているQPさん(仮名。同左)。シェアメイトどうし、ごく自然体でつき合えている間柄であることが早くも伺えるような、のんびりした空気が共用リビング全体に流れている。

furuya : それにしてもシンプルで、綺麗な空間ですよね。もっと生活感っていうか、何かしら雑になっちゃう部分が出てくるのがシェアハウスというか、人間の暮らしかなとか思うんですけど。

CD : たまたま、みんな綺麗好きな方なんです。なので誰が呼びかけるともなく率先して掃除とかもしちゃってますね。「月曜はAさん、火曜はBさん、水曜は…」みたいな当番表が冷蔵庫に貼られる、みたいなこともなくて。

やたらと境界線を設けて、「これはルールだから!」みたいにどんと構えるのもちょっとなぁ、ということで、ゴミ出しとかもその時々で時間が空いている人が、別に誰にことわることもなくやっておく。そんな感じでうまく回ってるんですよね、幸い。

QP : それは、本当にそう。家事以外でも、ある日家に帰ったら「あったら便利だな」って思っていたちょっとした家具とかがポンって居間に置かれていたりすることもある。
費用の折半とか持ちかけられることもなくて「気前いいなぁ。ありがとう!」って言いたかったんですけど、休みの日や家に帰ってくる時間帯がお互いずれててすぐには伝えられなくて。代わりに別のメイトに伝言してもらったこともあります。日々の生活の中に、そういう小さな助け合いがありますね。

居心地が良い、そのワケ


シェアハウスはじめ、他人と部屋を共有する暮らしを経験するのはこれが初めてではないというCDさんとQPさん。しかし、過去に経験した物件ではシェアメイトとの間柄は必ずしもここまで順調ではなかったもよう。

この物件の入居可能な最大人数は5人。家族的な関係性を保てるこの数的なバランスのこともあるかもしれないが、ここを心から安らげる家として穏やかに過ごすことができるいちばんのファクターは、やっぱり…。

furuya : シェアメイトどうし、とてもいい関係を保てているように感じられたんですけど、「このシェアハウスでよかったな」って思うときって、例えばどんなときですか?

CD : それはやっぱりふとした瞬間に訪れますよね。例えばこうしてお茶を飲んだり、テレビ見たりしてるときに「CDってさ、好みの女の子ってどんなタイプ?」みたいなトークが飛び出すことがないですから。

逆に「この人カッコいいよね」なんて思った通りに気兼ねなく言えることがわかっている。悟られないようにと取りつくろったり、発言に用心したりっていう思考のフィルターをかますことなく、リラックスしたままの自分で居られるから。

QP : 男は女が好きな生き物、という"常識"に反することを、自分が思ったり口にしたりしてしまっていいのかなって、小さいころから縛られてきましたから。そういう不自由のない場だと、くつろぎの深さが違うんですよね。

家事とか掃除のこととか、自主的に補い合って気持ち良い部屋と関係性を築けているっていうのは、そういう素の自分で居られる環境のよさを保っていこうっていう気持ちがベースにあってのことだと思います。

ちなみに5人の中で唯一のストレート女性は、もちろんジェンダーの多様性への理解がある人。積極的にアライとして生きているから、というよりは、お風呂を含めたこの物件の物理的な新しさやスペック、それにシェアメイトがストレートの男性であった場合には決して期待できない安心感が得られるから、という総合点でこの物件を選んだらしい、ということもうかがえた。

単なる「シェアメイト」以上の絆


リビング、キッチン、浴室からなる1F。そして各自の寝室の並ぶ2Fも。必要なものが小ぎれいにまとめられたこの家には、いまだに新築らしいブランニューな香りがほのかに漂い、日頃からつとめて綺麗な状態を保とうとする各人の行いの良さ(?)を感じさせる。

気持ち良い状態をみんなしてつくって暮らすひとつの屋根の下、いま、5人の間にはどんなエピソードがあるのだろう。

furuya : 仕事が休みの日も働きに出ている時間も割とバラバラしているとは聞きましたけど、なんか共通の話題とか、盛り上がっていることとか、あるんですか?

QP : ちょうどさっきCDと噂してたんですけど、いま外に出てるシェアメイト(ゲイ)の子が、なんだか最近めっきり帰る時間が遅くなったんですよね。それで「ん? おかしいよね」って。

furuya : もしや、パートナーができたのかも、みたいな?

CD : そうそう。多分そうなんじゃないかと。もし本当にそうだったら喜ばしいし「おめでとう」って言ってあげたいですけど、もしかしたら別のところに同棲しちゃうこととかもありえる。そうならさみしいよね、とかなんとか。

QP : 「おかえりー。遅いね。どこ行ってたの」とか冗談半分にイジってみようか、とか(笑)。

いつ、誰が別の道を歩み始めるかわからない。そうだからこそ、ごく日常的で、たわいのない会話にも幸せが感じられる、ということなのかもしれない。互いのジェンダーのあり方を理解している5人の関係性には、いわゆるふつうのシェアメイト以上の、強い“何か”があると言ってよさそうだ。

ちなみにこの「Casa Arco Iris TAKENOTSUKA(カーサ・アルコイリス竹ノ塚)」は、“LGBTsを対象とした不動産事業やライフプラン支援”を行なっている株式会社IRIS が展開する物件のひとつ。

プライバシー確保などの面でしっかりと当事者目線に立った同社のケアには、今回取材した2名も厚い信頼を寄せているもよう。気になる人はチェックしてみては。

(撮影:江冬祈)

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