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拝啓、15歳の自分へ vol.3

2018.09.01

拝啓

2学期の始まりを前にして、あなたはどんな気持ちでいるでしょうか。「学校に行くのがちょっと怖いな、嫌だな」と思っているかもしれないね。そんなあなたに、24歳になったわたしから一通の手紙を送ろうと思います。自分宛の手紙なんて書いたことがないからなんだかちょっと緊張するけれど、いつかあなたに届くことを願って、書き始めます。

あなたは中学1年生のころからいじめられっ子だったね。何年間もいじめられ続けていたわけではありませんでしたが、数ヶ月という単位で、複数回、いじめられました。

中学1年生の頃、靴箱に入れていたはずのスニーカーがなくなったり、通学用の自転車がパンクさせられていたり、当時流行していたSNSの掲示板に悪口を書かれたり、なんども嫌な気持ちになったよね。

2年生に進級してからは、女子の間で順番に回ってくる"シカト"の標的にもなりました。学校にいると、生活の中でグループを作らなければいけない場面にたくさん遭遇します。それは、大人が想像するよりもずっとずっと多いよね。

遠足の班分けのとき。お昼ごはんを食べるとき。体育の準備運動や、学校行事の練習。いろんな場面で、あなたはひとりぼっちを味わうことになりました。とっても悲しかったけど、先生にも、両親にも、相談することはできなかったよね。毎日一緒に通学していた友だちが待ち合わせ場所に来なくなってからも、ひとりできちんと学校に通い続けました。

あなたの中に、学校を休むという選択肢はきっとないのでしょう。その理由はふたつ。ひとつは、いじめられて学校を休んでしまえば、自分がいじめられっ子だと認めることになるから。いじめに負けた“弱い自分”になってしまうのがいやだからだよね。

もうひとつは、お母さんを心配させたくないから。憎まれ口を叩きながらも、心の中ではいつも「お母さんの喜ぶことをしたい」と思っているんだよね。わたしはちゃんと知ってるよ。

つらくても学校に通い続けたあなたを、大人になったわたしは心から誇りに思っています。頑張ったね。本当にえらいと思う。そんな頑張っているあなたに、わたしからひとつだけ、伝えたいことがあるのです。

それは、あなたが思っている嫌なことから逃げないという“強さ”は、もしかしたら持っていなくても良いものなのかもしれないということです。

楽な方に流されるな、つらいことには立ち向かえ、と小さなころから教わってきたあなた。けれど大人になったら、親や先生が教える“正しい道”以外の道を歩んできた人もたくさんいるのだと気づいたのです。

たとえば、学校。あなたは毎日通わなければいけないものだと思って、心をすり減らしながら通っているよね。けれど大人になってみたら、「小学校5年生の間は学校に行けなかったんだ」、「中学校には行かずにフリースクールに行っていたよ!」、そんな人たちにも出会うようになりました。

今は中学・高校・大学を卒業して“普通の会社員”になるのだろうな、と思っているのかもしれませんが、これまた大人になるといろんな経歴の人に出会います。高校生で海外留学をした人。大学をお休みしてインターン(職業体験)をしていた人。大人になるまでの道のりは、実はひとつだけではありません。

努力はあなたを大きく成長させます。辛くても目標に向かって必死に頑張ることは、とても価値のある大切なことです。でもね、もしもあなたの抱えている痛みや苦しみが一人で抱えきれないもので、あなたの生命をおびやかすようなものなのだとしたら、逃げたっていいんだよ。

逃げることはなんにも悪いことじゃない。弱い人間のすることではなくて、自分の身を自分で守れる人間のする、本当に大切なことなのです。

ひとりぼっちで我慢して、頑張り続ける必要もないんだよ。学校に行くことを考えて死んでしまうくらいなら、自分を傷つけてしまうくらいなら、学校に行かなくたっていいとわたしは思います。15歳のあなたが思うよりも世界はずっとずっと広い。学校に行けなくたって、生きてさえいればたくさんの道が広がっているよ。

そしてここからは、あなたの未来の話です。

何とか学校に通い続けたあなたは、4月から高校生になります。あの憧れのブルーの制服をきて、女の子だけの環境で生活していくことになります。ひとつ歳を重ねただけなのに、あなたが生きる世界は大きく変わるんだよ。

田舎の小さな中学校で感じていた苦しみは、高校では感じることがなくなります。もちろん、勉強についていくのが大変になったり、部活動ばかりしてお母さんに呆れらたり、好きな女の子に振られたり、日常の小さな痛みは味わっていくことになるけれど。

そして大人になったあなたは、自分が女の子が好きだということをお母さんに打ち明けて、「あなたの思うように生きたらいい」という言葉をもらいます。好きな人と一緒に暮らして、憧れだった仕事に就いて、満ち足りた穏やかな日々を送っているよ。

15歳のあなたには想像できないかもしれないけれど、24歳のわたしはとても幸せです。自分が思うよりもたくさんの人に愛されて生きているのだということを、大人になってから少しずつわかってきたような気がしています。

「生きていたっていいことなんかないだろうな」。そう思いながらも、果敢に立ち向かっているあなた。今のわたしがもしもあなたに会いにいくことができるのなら、セーラー服姿のあなたを「よく頑張っているね」と抱きしめたいな、と思っています。

15歳のわたしへ。

辛いことがあったら逃げたっていい。 自分がいちばん幸せを感じられる場所、自分がいちばん笑顔でいられる場所を見つけて、自分を愛しながら生きていってね。

10年後、あなたが今よりも強い女の子になっていることを、未来から祈っています。

敬具

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