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一ノ瀬文香の結婚反省会

2018.09.20

心から好きな人ができたら一緒に暮らしたい。結婚式を挙げてみんなに祝福されたい。LGBTQ+であってもそうでなくても、そんな風に考える人は多い。しかし、3組に1組の夫婦が離婚すると言われているこのご時世、どんなに仲の良いふたりでもケンカなどで別れてしまうことはある。今回Palette編集部は、自叙伝『ビアン婚。~私が女性と、結婚式を挙げるまで~』にて自身の結婚について執筆し、その後破局までを経験したタレントの一ノ瀬文香さんに、当時の2人の関係を酸いも甘いも聞いてみた。題して「一ノ瀬文香の結婚反省会」である。

(インタビュアー : ひょうちゃん)

ひょう:ぶっちゃけ、一ノ瀬さんと杉森さん(元パートナーの杉森茜さん)はどうして破局しちゃったんですか?

一ノ瀬:まあ…簡単に言うと、すれ違いが重なって修復不可能になったって感じかな…。ひとつ大きい問題があって破局したということではないです。

「いきなりそんなこと聞くんかい…」と言わんばかりの表情

ひょう:些細なことの蓄積があって、「もうお互い愛せない」みたいな?

一ノ瀬:そうです。それで気持ちが冷めていったんです。

ひょう:極論言うと、チャンネル争い的な感じですか?

一ノ瀬:そうですね(笑)。例えば私の物が勝手に使われているとか。どうしても仕事で使うものだから、茜ちゃんの携帯に電話したけど繋がらなくて、職場に電話したら「職場に電話してこないで!」って怒られて、自分もそれで怒ったり。

ひょう:(笑)。

一ノ瀬:彼女のことが好きだったし、何かあっても好きでいてくれる実感を持てていました。ずっと一緒に居るつもりだったんですけど、彼女にとっては私がちゃんと付き合った最初の人ということもあって、結婚式の後から"甘え"が強くなっていったな、と感じてしまったんですよ。

ひょう:なるほど。

一ノ瀬:経験上カップルがケンカする理由って、お互いに甘えが強くなって「なんで付き合ってるのに、自分のことわかってくれないの?もっとわかってよ!」っていう気持ちが大きくなるから、というのが多いと思うんです。どっちが正しいとかじゃなくて、配慮がお互いできなくなって…。

ひょう:なんか、わかるわ…。

一ノ瀬:結婚前はケンカしてもすぐに折り合いをつけることができたんですけど、結婚後は安心感が出たからか、配慮がなくなって人として尊重されていない気がしてきてしまって。そして間が悪いことに、私が15年飼ってた猫が連日病院に連れていくくらいに体調が悪くなっちゃったんですよ。猫に関して私が精神的につらくていっぱいいっぱいで、彼女のことを考えて歩み寄ろうという気持ちの余裕が持てなかったんですね。

ひょう:それは、確かにすれ違ってしまうかも…。

一ノ瀬:私は猫、彼女は仕事に必死で、お互い相手の甘えを受け入れる余裕がなかったんです。話し合いを設けようともしなくて、しばらくは冷戦状態。で、それが長く続いて「もうダメ」って思ったんでしょう、「今後どうするか話し合おう」って連絡が来て。

ひょう:じゃあ、彼女の方から…?

一ノ瀬:そうですね。もう関係が修復できないから別れようということになったんです。結婚するにしても破局するにしても取材が殺到するのはわかってるから、お互い同じ日時にブログでしっかり報告しようって決めて、報告させてもらったんです。

ひょう:なるほど。

一ノ瀬:でも、破局報告のブログを公開する予定の朝、起きてネットのニュースを見たら「一ノ瀬文香と杉森茜、破局」ってすでに出ていて「え、ちょっと待って!?(笑)」って。急いで彼女に電話で確認したら、「前の日に記者の人に喋っちゃったんだよねー」って(笑)。もう、大笑いよ。

ひょう:やだ、もう(笑)。せっかく合わせたのにねぇ…。

一ノ瀬:「ちょっと〜(笑)」みたいな。「じゃあ今からブログアップするわー」って、遅れて公開したんです。

ひょう:すれ違いもあったかもしれないけれど、楽しいこともきっとたくさんありましたよね?

一ノ瀬:そうですね。まず、彼女のことは見ていて飽きなかったな。明るいし。私、外では結構騒ぐけど家では静かなタイプで。逆に彼女は外でも家でも気がついたらひとりで歌ってたりする。たとえばふたりで出かけたときに、私が自転車で彼女の先を走っていたら、後からひとりで歌いながらついてくるような人。後ろに常にBGMがあるみたいな感じ(笑)。

一ノ瀬:付いて来ているのがわかるので、便利なんですけどね(笑)。彼女ひとりのときも そうみたいで、友だちから「今日道端で茜ちゃんとすれ違ったんだけど、大声で歌いながら自転車乗ってたよ」とか「発声練習であーあー言いながら歩いてたよ」って言われたりも。彼女のそういうの、おもしろかったな(笑)。

ひょう:かわいい人ですね(笑)。

一ノ瀬:そう。彼女の明るく情熱的で、ポジティブなところが好きでした。少なからず彼女に感化されることはありました。

ひょう:彼女とは今でも連絡をとったりするんですか?

一ノ瀬:会ってはいないですが、お互いに困ったことや協力できることがあれば連絡する可能性はありますね。彼女はダンサーだから反復練習をするのが得意なんですけど、私は反復することが苦手で。私、最近膝の靭帯切って手術をしたんですけど、半年以上毎日リハビリしなくちゃいけないから、そんなときに彼女のことをふと思い出して、「自分も頑張んなきゃな」って。今でも彼女のこと、尊敬しています。

ひょう:じゃあ結果的には出会って良かったのよね?

一ノ瀬:出会って一緒に過ごした時間は確実に心の成長に繋がってるから、良かったなって思っています。でも、長く一緒に過ごすことができなくて残念ではあります。周りの人に祝福されたからこそ余計に。だから、今後いずれ一緒にいるであろう人とのために経験を活かせればなと思います。

ひょう:仮に日本で同性婚ができるようになって、パートナーシップ制度もあったとしたら、一ノ瀬さんはどういう選択をしますか?

一ノ瀬:婚姻制度に対してはいろいろ思うところはありますが、「国が愛を保証するもの」だと思っています。そして、男女で適用されるものは同性同士でも選択肢としてあるべきだと思います。同性婚が早くできるようになって欲しいです。その上で、今後ずっと一緒に居たいと思う人ができたら婚姻という選択をすると思います。もちろん、その時の婚姻制度のメリットを考えた上でですけど。

ひょう:芸能人で、特に同性婚をされていると「結婚したのになんで別れるの?」「責任感に欠ける」なんて叩かれがちですけど、実際どうです?

一ノ瀬:あんまり詳しくは把握してないんですけど、関わりがない方から何か言われてもピンとこないし、そこまで感情的になれないので「こういうことがあると、こうやって思う人がいるんだな」って冷静な気持ちで参考として読んだことはあります。優先順位として、自分自身と身近な人を、自分を応援してくれる人を大事にしたいんですよ。身近な人から言われる方が心に響くじゃないですか。

ひょう:すごくわかります。

一ノ瀬:多分世の中には、自分と他者は違うという認識を持っている人とそうでない人がいると思うんですよ。私は結構自分と他者は違う存在だと思っているけど、そうじゃない人はたとえばテレビを観ていてもいちいちツッコミを入れる印象です。

ひょう:うんうん。

一ノ瀬:でもそれって良い面もあって、応援したいと思ったらすごく応援してくれるし、逆に違うと思ったら熱くなってバーっと非難しちゃうと思うんです。そういう熱い人が応援してくれたらすごく心強いんですよ。でも非難に対しては、私は私で考えがあるから、人の意見は人の意見として受け止めます。

ひょう:そうなんですよね。いろんな意見があって当然ですもんね。それに対して「ああ、それもいいじゃん」って言えることが私も大切だと思っています。

一ノ瀬:多様性がより認められて選択肢が増えることは、幸せになれる人が増えるってことで、その選択をしたくない人にとっては害がないと思うんですよ。たとえば異性同士でも同性同士でも結婚ができる世界なら、異性愛者の人は異性との、同性愛者は同性との人生を歩んでいける。みんなが幸せになれるでしょ?反対する必要もないですよね。

ひょう:たしかに。

一ノ瀬:そうやって多様性が認められていけば、異性愛者の人も社会の目を気にして早く結婚しなきゃとか「◯◯するべき」に縛られずにすむようになって、もっと楽になれると思うんですよ。幸せの選択肢が増えるのを応援できる人が増えるといい。破局して残念な気持ちはありますけど、今後も誰かとお付き合いをして、同棲したいと思えば同棲するし、婚姻したいと思えばいずれできると信じてるので、前向きにやっていきます。

ひょう:最後に、結婚式やパートナーシップ、同棲をしたい人へのメッセージをお願いします。

一ノ瀬:未熟者だから偉そうなことは言えないんですけど、モヤモヤしてつらさを抱えているのであれば、悩んでるだけじゃ何も解決できないので、今できることで何が最善かということをふたりで話し合って、ふたりのための未来設計を立てて、「ひとりでいても楽しいけどふたりでいるともっと楽しいよね」ってなっていけたら良いんじゃないかな。

ひょう:お互いの幸せをお互いに模索するみたいな感じですね。私も恋人欲しい(笑)。

一ノ瀬:お互い頑張りましょ(笑)。

異性同士も同性同士も、芸能人も一般人も「付き合う」「深く愛する」上での楽しさや苦しさはなんら変わらない。一ノ瀬さんの言うとおり、互いに甘え過ぎずに配慮し尊敬しあってこそ、深く付き合えるのかもしれない。気持ちの余裕を持ってとことん話し合い、これからの幸せのための最善の選択をするふたりが、増えていくといい。


(撮影:常盤治

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