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タレントぺえが語る、カミングアウトの"覚悟"

2018.10.19

登場した瞬間に、ぱっとその場を明るくするオーラを放つ。

先週テレビで見かけたのと同じ明るいピンクの髪をふわふわと揺らしながら撮影現場へやってきたぺえは、タレント業の傍ら原宿竹下通りにあるアパレルショップ「WC」の店員としても働く26歳だ。

"オネエタレント"というひとつのジャンルとしてメディアへの露出をすることも多いぺえだが、他の誰とも違う自分らしさを放っているように見える。しかし、本人が持つ性のあり方や自分らしさがどのようなものなのかは、あまり語られてこなかった。

今回Paletteでは、そんなぺえに独占インタビューを実施。その半生を語ってもらうと、ぺえの持つ"覚悟"に関する大切なものが見えてきた。

(インタビュアー:合田)

合田:オネエタレントと言ってもさまざまな性のあり方がありますよね。ぶっちゃけぺえさんの性的指向って、どんな感じなんですか?

ぺえ:私はゲイ(男性同性愛者)。いろんなところで女装家って書かれるんだけど、女装しているつもりはないんです。

合田:なるほど。じゃあ今のそのファッションも女性っぽい表現をしているわけではないんだ。

ぺえ:そう。上京して初めて働いた原宿の色に染まって、私は自分が可愛いと思った姿でいるというだけ。一人称も"私"でメイクはバッチリしてるけど、スカートとかも履かないし。好きな性別が男性っていうだけですね。別にそこまで女性らしいところがあるかと言われるとそんなことはなくて、むしろ中身は男の部分の方が多いかな。

合田:どんなときに、そう思うんですか?

ぺえ:男性が絶対そうだとは限らないけど、"昭和のオトコ"みたいなところがあって(笑)。もともと体育会系だからかもしれないけれど、なんでもド直球なんですよ。これが好きだと思ったら「好きだ!」って伝えるし、この人いいなと思ったら思いを伝える。つまんなかったらつまんないし、やりたくなかったらやらないし。

合田:それはたしかに"昭和のオトコ"感、ある(笑)。ちなみに、今うちの会社でつくっている"LGBTQ+専用の知恵袋アプリ"があるんですけど、最初に自分の性のあり方を設定する画面があって。ぺえさんだったらどんな設定になりますか?

ぺえ:どれどれ。生まれたときの性別は男性でしょ…。心は…うーん、ちょうど男性と女性の真ん中なのかもしれない。「オネエって男の気持ちも女の気持ちもわかるとか言われるけど、わかんないわよ!」っていうオネエが多いんだけど、私は割とどっちの気持ちもわかるのよね。

ぺえの性のあり方は、こんな感じ

ぺえ:男性からの恋愛相談を受けても答えられるし、小5までは女の子が好きだったし。

合田:へ〜!そうだったんですね。今は、女性は恋愛対象はならないんですか?

ぺえ:ならなくなりましたね。でもね、初めてこう、性的な妄想をしたときの相手は女の子!おっぱいとかにちょっと興奮したりね(笑)。

合田:ん〜、少年っぽい。

ぺえ:あ〜でも10回目くらいで、妄想する相手は男性になってたわ…。

10歳ごろの性の芽生えに思いを馳せるぺえ

合田:初めてから10回目までに要した期間は?

ぺえ:3ヶ月くらい。なんとなく、発達の早い同級生を見てドキドキしてる自分がいて「何これ」って思っていたんですけど、はっきり「やばいかも」って思ったのは、小学校の体育の授業。大縄とびで捻挫した私を体育の先生が保健室のベッドまで運んでくれて、そのとき距離がかなり近くて、ドキドキしましたね(笑)。

合田:は〜、それはキュンとするやつ。

ぺえ:小5から中2ぐらいまでは、自分が男の子を好きだってことに半信半疑だったんですよ。どこか認めたくなくて生きていたけど、中2で初めて彼氏ができて、そこからは男性しか恋愛対象として好きになってない。

合田:なるほど。初めての彼氏と付き合った経緯、詳しく聞いてもいいですか?

ぺえ:あれは忘れもしない、8月25日の暑い夏の日…。

合田:あっ、そういう感じで話すんですね…。

ぺえ:地元、山形の遊園地が入場料無料になる夜があって、彼と友だちとして一緒に行ったんですけど、帰りに「この後どうする?」ってなって。彼の方から私の家に行きたいと言われて、うちに遊びにきたんです。で、私の部屋でちょっと、いちゃいちゃしちゃって…。

合田:わ〜、青春。

ぺえ:それで、好きだってことを伝えてくれたんです。そのときの私は自分がゲイかどうか半信半疑で、どうしようって思ってた時期だったので、一旦彼に委ねてみようかな、と思って委ねてみたら「あ、すごくいい…」と。

合田:うんうん。

ぺえ:その後5年付き合いました。そしてそれが、最初で最後の彼氏。

急に真顔である

合田:では、しばらく特定の恋人はいらっしゃらないんですね…。

ぺえ:………。

合田:…。えっと、周りの人にカミングアウトはしていたんですか?

ぺえ:私の方が彼よりもカミングアウトには慎重だったんですけど、彼は「恋愛に男女は関係ないじゃん!」って堂々と言うタイプの人だったんですよね。今考えると、あの時代の山形の最先端を行っていたな、と(笑)。

合田:かっこいい!なかなかいないタイプかもしれないですね。

ぺえ:そうね(笑)。学校で手を繋いだりしてくるから私のほうが恥ずかしがってたんだけど、日に日にそのオープンさが心地よくなって、すごく愛してくれてるんだなって実感していきました。そんな感じだから、私たちは学校公認のボウズのゲイカップル。言わなくてもみんな知ってる感じでした。

合田:みんな受け入れてくれてたんですね。

ぺえ:最初は「えっ、あいつらどういうこと?」って言われることもありましたけど、そこまで気にされなかったかな。彼と付き合う前から私自身、もともと中性的な感じではあったので、今更ゲイってことをバラしても「だろうね」って。

合田:なるほど。

ぺえ:あ、でも彼が女子にモテるタイプの男子だったんで、女の子からの僻みと妬みと嫉みを感じながら中学校は生活してましたね。すっごい地味なんだけど、さくらんぼの種が靴に入ってたりとか(笑)。

合田:さくらんぼ!山形だからか(笑)。ご当地いじめですね。

ぺえ:地元愛は捨てない、みたいな(笑)。そういうちょっとしたのはあったけど、彼がオープンに愛してくれていたから大丈夫で。ものすごい愛だった。

「本当にものすごい愛だったんだな」と思わざるを得ないセーターを着ている

合田:ご家族へのカミングアウトはいつごろ?

ぺえ:実は両親に直接カミングアウトする前に、テレビ番組で言っちゃったんです。オンエアーの前に結構長文のメッセージを家族宛てに作っていたんですけど、送信ボタン押せないまま放送されてしまって。

合田:なかなか勇気、出ないですよね。

ぺえ:私が何も言えないうちに、オンエアーを見た母から「よく言ったね。頑張ったね」っていう連絡が来て。「これをテレビの場ではっきりカミングアウトしたってことは、この仕事を頑張る覚悟を決めたってことだよね」と。「だからもう好きに、自分のやりたいように生きていきなさい」って言われたんです。

合田:泣けますね…。誰に認められるよりも、家族からそう言ってもらえるのは嬉しいですよね。

ぺえ:カミングアウトのタイミングって人それぞれだなと思うし、正直カミングアウトして幸せになれるかっていうとわからない。でも少なからず私は、カミングアウトして自分というものを正直に表現するようになってから人生が楽しく豊かになった。

合田:その覚悟をもって、自分で生きやすい環境を手に入れることができたのかもしれませんね。

ぺえ:カミングアウトした本人が傷つくことのない世の中になることがいちばんだけど、傷つくかもしれないし、離れていく人もいるかもしれない。それでも自分を表現したい。という覚悟も大切かもしれないな、と。

合田:逆に、カミングアウトされる側はどんなスタンスでいたらいいの?なんていう質問もよく聞かれるのですが、ぺえさんはどう思いますか?

ぺえ:正直にいちばん嬉しいのは普通に接してもらえること。気を使って恋愛の話しないとか、これ触れていいのかなみたいな空気がある方が正直もやっとするし、気使わせちゃってるなって思いますよね。何かしてくれっていうよりも、普通にしてて。ジタバタしないで。って思う。

ぺえ:世の中が何に関しても「普通って何?」という流れがきていますよね。「何でも、人それぞれじゃない?」って。たとえば、ゲイやレズビアンに「普通じゃない」っていうのも古いし、いつまで言ってるの?っていう感じ。

合田:「普通とか、いつまで言ってるの?」感を大人が出して行きたいですよね。

ぺえ:参議院会館で開催されたLGBTQ高校生未来会議で講演を行ったときに高校生と話したんですけど、今の10代とか20前半の人たちって本当に考え方が寛容。自分がセクシュアルマイノリティじゃないとしても、かなり柔軟に違いを受け入れられる考えを持っている人ばかりだったんです。

合田:ぺえさんやりゅうちぇるさんのような、いわゆるステレオタイプのジェンダーにとらわれず、自分らしい表現を堂々とする方を自分のスマホで見られる世代ですもんね。「こういうあり方も素敵なんだな」と知れるのは大きいと思います。私たちの時代は、ロールモデルもなくて、生き方に迷る人もきっと多かったと思うから。

ぺえ:りゅうちぇるともたまに話すんですけど、僕たちっていいタイミングで出てきたよねって。彼は異性愛者であんな感じ。私はゲイでこういう感じ。一見同じように見えるけど、それぞれ性のあり方が違うんだよっていうことを見せて、世の中にいい影響になっていければいいよねって。

合田:同じように見えても、一人ひとりがユニークですものね。それが当たり前だよねってわかってる世代がくればいいですね。

合田:山形から原宿へ、そして1週間のうちに「WC」で働くことが決まったというぺえさん、自分を突き動かす力は何なんでしょう?

ぺえ:私は直感を大切にしているだけ。考えてる時間がいちばんもったいないし、やってから「向いてなかったな」とか「自分ダメだな」とか分かっていけばいいと思うんです。最初にゴールを決めてしまわずに目の前のことを全力でやっていけばゴールが見えてくる。ダメだったらダメでいいじゃない。

合田:じゃあ、具体的にどこまで登りつめたい!みたいな目標もないんですか?

ぺえ:ないんですよ。全力で頑張った先に見えてきたものに向かうだけ。ここまでって決めてない。そもそもうまく行くなんて思ってないから!

終盤で急に座り方がやさぐれるぺえ

ぺえ:もう、身を委ねればいいの、なるようになるんだから。幸せの形も人それぞれなんだし、人のことに口出しせずにさ。

合田:ぺえさんは腹をくくれる人ですよね。覚悟がある。どこで満足できるのかとかも、人によって違うし、正解なんて自分にしかわからないですもんね。

ぺえ:そうよ、人にどう思われてもいいし、どうこう言われても、自分のやり方でやっていくしかないの。もう「死ぬときくらい自由にさせてくれ 」って感じ。

合田:めっちゃ潔いっす…。

「誰にどう思われるのか分からない」ということを恐れない覚悟、そして自分らしさを隠すことなく、ありのままに表現する。

派手な髪色は目を引くだけではなく、ぺえがそこに存在するだけで「あなたも個性的でいいんだ」と肯定する、今の時代へのメッセージのようにも思えた。

(撮影:漆原未代

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