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「働きたい場所がないなら、自分でつくればいい」ロールモデルバトン|第1回ゲスト あやにー

2018.10.05

「LGBTQ+って、聞いたことあるけど身近にいないよ」
「東京にいる人たちでしょ、ていうか新宿2丁目」
「テレビに出ている、オネエタレントみたいな人たちのこと?」

LGBTQ+と聞くとそんなイメージを持つ人も多いのではないだろうか。

2015年に電通ダイバーシティラボが約7万人を対象に行ったインターネット調査によると、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーに当てはまった人の合計は7.6%。たとえば40人のクラスには3人の当事者がいるのが普通だということだ。

つまり「LGBTQ+って、聞いたことあるけど身近にいないよ」というのは実は間違いで、オープンにできない人が多いだけかもしれない。LGBTQ+はこの社会に当たり前に溶け込んで暮らしているのだ。

今回パレットは、新しくコーナーをスタートさせる。

社会に溶け込み、"LGBTQ+として"だけでなく、"ひとりの社会人として"自分らしく生きている素敵なLGBTQ+のロールモデルをゲストに迎えて取材し、仕事やプライベートについて深掘りながら聞いていこうと思う。ゲストには最後に「あなたの素敵だと思うLGBTQ+を紹介してほしい」とお願いし、次のゲストにバトンを渡していく企画だ。

第1回目は、株式会社Queendom創立者で代表取締役の加藤綾氏(以下、あやにー)をゲストに迎えた。

加藤 綾:1985年10月12日生まれ 愛知県名古屋市出身 23歳で起業。朝5時まで営業するネイルサロン「Cherish」をプロデュース。 その半年後株式会社Queendomを設立。 女性に特化したマーケティングを得意とし、イベント運営などを行う。

合田 : 率直に、ご自分が女性とお付き合いされていたことをオープンにして生きるのって、ハードル高くなかったですか?

あやにー : 私の場合は高校、大学と女子校で、起業してもネイルサロンだから女の子だけの世界で過ごしてきたんです。女子校は女の子だけで過ごすのが好きな子たちが集まっていたから、受け入れられやすかった気がします。逆に差別的な思想を持っている人の方が、出会ってこなかったかも。

合田 : なるほど。

あやにー : あと、周りに異性がいないというのもあって、比較的共学に通っていた人たちよりはオープンに周りに話しやすかったのかも。女子校って、女の子嫌いな子来ないですしね(笑)。

合田 : わかります。女子校に通ってた女の子って、大人になっても女子校が大好きな人多いですよね。女子校は性別による役割分担がない世界で、力仕事や身体張ることももちろんやらなくちゃいけなくて…。その名残なのか、私は未だに男性に何か頼るという発想がいかなるときにも湧きにくい(笑)。

あやにー : なんかわかるかも(笑)。私が通っていた高校はバスケ部とハンドボール部がめちゃくちゃ強くて、全国からスポーツの強い女の子が集まっていたんですけど、今よく考えたらもしかしてあの子もそうだったのかな?と思う子もいましたね。ボーイッシュでかっこよくて、周りの女の子たちに腕にぺっとりくっつかれてたな。

合田 : あ〜モテモテ王子様みたいな先輩いますよね(笑)。そういう環境で育つと「男性だから好き」とかではなく「人として好き」みたいな、シンプルな愛が生まれやすい場合もあるのかもしれませんね。

合田 : そんな中で、あやにーさんはどんな恋愛をしていくんでしょう。(ワクワク)

あやにー : ふふ…元カノ呼ぼうか?(笑)。

合田 : 会ってみたい!今度ぜひ。

あやにー : 最初に女の子と付き合ったのは、高校1年生のときでした。むこうは年上の人だったんですけど、共通の趣味を持っている友人で、ずっとくっついてたら付き合うようになっちゃった。

合田 : ああ〜いいですね。

あやにー : 「お姉ちゃんみたいだな」と思って懐いていたらあっちも「なんか懐いてくれてかわいいな」って思ってくれて、いつのまにか距離が近くなって、恋人同士になっていたんですよ。

合田 : うわ〜、どうしよう。かわいい(笑)。

あやにー : なんか恥ずかしいな(笑)。その彼女とは4年付き合ったんですけど別れてしまって、その後は同じテーマパークでアルバイトをしていたダンサーの女性と恋をしました。

合田 : すでに、きゅんきゅんしてきました。

あやにー : 私はショーやパレードを近くで見ることが多い仕事だったので「きれいな人がたくさんいるな〜。天国だな〜」と思っていたんですね。それで、えっと、馴れ初めはどうだったかな…あ、そうそう、ショーのときに「やたらと目が合うな」と思う女性がいて。

合田 : うんうん。

あやにー : それで仕事で毎日会うようになって、休憩室で見かけたときに「あっ、あのよく目が合う人だ」と思って。そのうちに挨拶する仲になって「素敵だな…」と思い始めたんです。でも、その人が女性を恋愛対象にする人かどうかもわからないし…。でもある日、一気に状況が動くんです。

合田 : ごくり…。

あやにー : 休憩室にひとりでいたら彼女が入ってきて「いつも見てます」みたいなことを言ってくれて、「私もです」って返して(笑)。

あやにーさん、昔を思い出して思わず照れ笑い

合田 : (無言の拍手)

あやにー : あとで聞いたら「偶然休憩室に入ったんじゃなくて、追いかけて行ったんだよ」って言われたなあ(笑)。当時はガラケーだから電話番号を交換して、毎日SMSメッセージを交換していくうちに距離が近くなって、職場が一緒だからうちに泊まりに来るようになったりして。そのときは何もなかったんだけど、くっついて寝ているうちに付き合うようになっちゃった。

合田 : なんか、さりげなくクロージングするの上手いですね。

あやにー : はずかしい!そんなの今ではできないなあ(笑)。

合田 : あ〜、たのしい!こういう話が聞きたかったんですよ(笑)。

つられて合田も、照れ笑い

あやにー : そのあとは、ずっと好きですっごくモテる女の子と、お互いの前の恋が終わるタイミングが合って「じゃあ私と付き合って」と伝えて交際がスタートしたり…。

合田 : ああ、じゃあ思春期から20代前半って、結構女の子ずくしだったんですね。

あやにー : そうなんですよ。男性とも何人かあったんですけどね。

合田 : モテますね!羨ましい。

あやにー : いやいや。でも、ほしいと思ったら手に入れたい!という性格なのかも(笑)。最後に付き合った彼女のことはなんだか今でも忘れられなくて、結婚しているんですけど、もし別れたらもう一度付き合ってほしいくらい(笑)。

合田 : うんうん、忘れられない恋ってありますもんね。

合田 : そんなモテモテのあやにーさんですが、自分のセクシュアリティにあまり悩んで来なかったのは、やはり女の子だらけの中で大人になってきたから?

あやにー : それもあるんですが、私は私自身が幸せであることがいちばん大事だと思うので、誰かに自分の在り方を否定されても「あっ、そうですか」ぐらいにしか受け止めないんですよ。

合田 : それは強い。

あやにー : 弟が2人いるんですけど、小さい頃は見たいテレビも行きたいテーマパークも弟たち優先で。自分の自我を通さないと生きていけない環境だったから、それが今の強さに繋がっているかも。

合田 : あ〜、それは長女あるあるかもしれませんね。

あやにー : 自分がどのように生きていくべきかは、自分で見出さないといけないんじゃないかなと思うんです。用意された人生のレールを外れたときに「親のせいで」とか「あの人のせいで」って、言いたくないから。

合田 : 自分で決めたら背負わなければならないですしね。それが、あやにーさんの場合起業という形に繋がったのかもしれませんね。

あやにー : そうかもしれません。誰がなんと言おうと私は自分が幸せであることを最優先にしていきたくて。でも、自分が幸せであるためには周りも幸せにしていかなければならないんです。自分の周りに広く幸せをつくっていけるようにしたいな。私はそれを叶えようとするエネルギーが強いのかもしれません。

合田 : なるほど。

あやにー : たとえばもし誰かに心ないことを言われても、その人が自分の人生を生きていくわけじゃないし、万人が受け入れるものなんてない。そう思ったら、自分がいいと思うものを愛していったほうが良いんじゃないかなと思うんです。

合田 : 起業のきっかけを教えてください。

あやにー : 私、アルバイトしていたテーマパークの正社員試験を受けたんですけど二度落ちていて、「あ〜もうだめだ」と思って、起業したんです。

合田 : へえ、思い切りましたね!どんな仕事を始めたんですか?

あやにー : 朝5時までやっているネイルサロンをつくりました。実際に自分がすぐにネイルしたいと思ったときに何件電話しても予約がとれなくて、お店自体が少ないことに気づいたんですね。あと、夜に働く方にも需要があるはずだと思ったので「この業界でビジネスをやったら成功する」と思いました。当時そういう店がなかったから、結構うまくいったんです。

合田 : 実際に顧客だったころの気付きから、ビジネスに展開していったんですね。

あやにー : そうですね。そしてお店をやっているうちにお客さんに新しい商品を使ってもらう仕事が舞い込んできて、「あ、これもビジネスになるな」と思ってマーケティングの会社に転向し、現在は女性に特化したマーケティングやコンサルティングなどをしています。

合田 : 仕事をしているうちに信頼を勝ち取ると、次の仕事につながっていったんですね。やっぱり人との縁は大事だな…。

あやにー : ありがたいことですよね。私は、お金や仕事の悩みを解決するにはたくさん道があると思っています。必ずしも会社員になることが正解じゃないし、普通であることにとらわれる必要もないと思うんです。実際に私もそうしてきたし。

合田 : 普通という言葉の呪いにかかる必要はないですよね。

あやにー : そうそう。たとえば自分がLGBTQ+であることを生かして、ビジネスをみつけていくのもいいのかもしれない。自分の属性を活かした仕事は、自分だからこそできると思うんです。赤ちゃんがいてもできる仕事をママたちが探してやっていったように、自分が持っている特技や属性をネガティブに捉えずお金にしていくチャンスは、実はたくさんあるんですよ。

合田 : 一歩踏み出す勇気を持ってみるのが大切かもしれませんね。

あやにー : 働きたいところがないなら自分でつくればいいんです。うまくいかなくても来た道を戻るより、開拓者になる人が増えていくといいなって。「自分らしく働いているよ」ということを周りに見せて、それが理解につながるといいなって。

合田 : 本当に、そうですよね。

あやにー : 好きなことで生きていく人が増えて、その後ろを追いかける人たちのために道ができて…やさしい連鎖ができていく。大丈夫、生き方がたくさんあります。自分で考えたり、つくったり、広げたりすることはきっとプラスになっていくから。

合田 : さて、最後に、次のバトンを渡す相手を決めます!あやにーさんの素敵だと思うLGBTQ+の方を紹介していただけますか?

あやにー : バイセクシュアルを公言している美容師のカワイミオさんにバトンを渡したいと思います。「IJK OMOTESANDO」というサロンでトップスタイリストをつとめている方です。

合田 : おお〜…これはまた…オシャレな方だ!ありがとうございます。

パレットでは、引き続き"ひとりの社会人として"自分らしく生きている素敵なLGBTQ+のロールモデルの方を紹介していきます。

それでは次回もお楽しみに!

(撮影:常盤治

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