Reing

指輪で魅せる多様なパートナーシップ

2018.10.12

指輪でパートナーシップのあり方を問い直そうという「Re.ing(リング)」プロジェクト(twitter : @Reing_me )は、性別や国籍をこえたつながり「LITTLE RAINBOW」(リトルレインボー)、生死をこえたつながり「Dearmond」(ディアモンド)、種族をこえたつながり「PETTIE」(ペティ)の3プロジェクトを展開している事業だ。

今回、パレット事業部が着目したのは「LITTLE RAINBOW」(リトルレインボー)。

1対1の男女カップル"以外"のパートナーシップを表現する指輪を制作するにあたっての想いを、Re.ingプロジェクト責任者の大谷さんに語ってもらった。

(インタビュアー : ひょうちゃん)

大谷さん。左手中指にはリングが。

ひょう : そもそもRe.ingプロジェクトのきっかけはなんですか。

大谷 : 昨年、今までにない新しいジュエリーをつくろうというプロジェクトが始まったんです。そのきっかけが、パートナーシップの形は多様化しているのに、指輪は、まだまだ1対1の男女のものが多いよねという話だったんです。実際それをイメージする人も多いし。そこで、指輪が関係性を象徴するものだとしたら、これまでと違うアプローチができるんじゃないか、指輪のあり方自体が変わったらパートナーシップの考え方も変わるんじゃないかと。そこから、新しいコンセプトのジュエリーを作ろうと、Re.ingが始まりました。

ひょう : 確かに男女で戸籍を入れている、もしくは入れる予定のカップルを思い浮かぶ人は多いかもしれませんね。

大谷 : 結婚ということを考えたときに、いちばん大事なのは、"自分の意志で選択できること"なのかなと。私にはレズビアンカップルの友達がいるのですが、私が今の彼との結婚を考えても何も障壁はないのに、その子達はお互いに一緒に生きていきたいと思っても、結婚式を挙げていても、法的にはパートナーとして認められていないんですよね。社会から「あなたたちの関係性はおかしいよ」「普通じゃない」と言われることや、他人や社会から承認を得なければならないのって、なんだかおかしいなと。 その人たちが決めたことが、もっと尊重される世界の方が、素敵だなと。なので、指輪は自分の意志で選択したことに対する"武器"みたいなものになれたらいいな。

ひょう : 武器か、なるほど…。

大谷 : そうですね。「LITTLE RAINBOW」は、性別や国籍など関係なく多様な愛の形からインスピレーションを受けてつくったのですが、誰もが自分たちのパートナーシップに誇りを持てるものになるといいなと。制度や形式がなくても、指輪があれば大切な繋がりを感じられるというように。 例えば遠距離カップルが、指輪をつけることで相手の存在を思い出して、ケンカしたときやつらいときに「頑張ろう」「この人とはいつも一緒だ」って勇気が出るとか。指輪があると、"私はこの人と一緒に生きていく"意志が形になりますよね。

ひょう : 愛の象徴としてふたりをつなげるお守りですね。

大谷 : まさしく。それから「Dearmond」。人が亡くなったときって、「早く忘れなきゃ」とか「早く立ち直らなきゃ」とか思いがちですよね。私は亡くなった祖母がすごく大事な存在だったので、祖母の写真を持ち歩いて思い出したり、実家に帰ると必ずお仏壇の前で、祖母に語りかけたり。そこで"亡くなっても繋がって生きていく"という選択肢もあると思って。

ひょう : ふむふむ。

大谷 : また「PETTIE」をつくるときには、ペットを家族として迎え入れている人に取材しました。ペットが自分たちの子どものような存在として、子どもの兄弟として、子育てするときのパートナーとしてペットと関わっているんですね。でも、例えば30歳目前の私が「犬がほしい」と話すと、「結婚できないよ」みたいに言われたりする風潮も残念ながらあるんですよ。

ひょう : 「独身生活をペットと楽しむのに…」みたいな。

大谷 : 社会が "良い"とする形がある一方で勝手に"おかしい"とされる形もあるけど、「幸せな関係性の象徴」である指輪がどんな形であれ、いろんなパートナーシップの象徴になったら指輪が欲しいって思う人が増えるかもしれないし、その指輪をしていることで幸せを実感して、社会と繋がって生きている感覚を持てるという人もいるかもしれない、と思っています。

ペアリングが「LITTLE RAINBOW」、シングルリングが「Dearmond」、中央が「PETTIE」

ひょう : プロジェクトで何か苦労したことはありますか?

大谷 : メッセージの打ち出し方や作った想いの表現の仕方ですね。例えば、そもそもレインボーという言葉を使うべきなのかとか。レインボーは「LGBTQ+のカラー」と思う方も多いかもしれませんが、調べると、実は人類すべてに共通するカラーなのではと。あらゆるジェンダー全ての多様性の象徴というメッセージだと思って、あえて名前にしました。

ひょう : ユニバーサルデザインに通じますね。

大谷 : そうですね。性別だけでなく、国籍、肌の色、身体のつくりなど同じ人間でもそれぞれに違いはありますが、そこには差はあるべきでは無いし、違うことが普通だと思ってます。"どんな人たちが紡ぐ関係性も、美しい"そう思ってる人にこの指輪をつけてもらえると嬉しいです。ところで、試作中のプロダクトがあるんですけど見ていただけますか?

2つのリングと小さいリングのセット

ひょう : なんだろ?ひとつだけ小さい。。もしかして親子向け?

大谷 : そうです!これは一緒にデザインを考えてくれているNOSIGNERさんのアイディアなのですが、結婚する時点で妊娠しているカップルもいるじゃないですか。"授かり婚"ですね。でもなんで"できちゃった婚"って言われるんだろうって。幸せな関係性の中だったら家族が3人で始まっても良いのに。それに、結婚指輪はふたつってなってますよね。

ひょう : そういう風潮ありますよね。

大谷 : だから、始まりが3人なら赤ちゃんの分も、という気持ちを込めて試作したんです。例えばネックレスにして子どもが20歳の時に渡してもいいだろうし。

ひょう : なるほど。

大谷 : いろんな関係性からインスピレーションを受け、特定の関係性が勝手なイメージで社会から批判されるって変だよということに対してデザインやモチーフでアプローチしていけたらなっていう風にみんなで考えています。デザインや使いやすさにもこだわりたくて時間はかかりますが。

ひょう : 大谷さんご自身が、プロジェクトから得たものや気づきなどはありますか?

大谷 : 自分なりにLGBTQ+について調べていると"いかに大変か"や"いかに苦い思いをされているか"など、本当にまだまだ課題は多いなと思うことが多いのですが、多くのカップルに話を聞くと、"皆、本当に幸せなんだ"って。 指輪をつくるだけではなく、こういった人たちのストーリーをハッピーに伝えていきたいと思って、取材した内容を記事にし始めました。実際反応で多かったのは、"LGBTQ+向けじゃない"、つまり、LGBTQ+が特別ではなくいろんな関係性の中のひとつ、という魅せ方に共感したということです。それで購入してくださった人に話を聞いてみたんですね。

ひょう :noteで見ましたよ!

大谷 : ありがとうございます。「身につけていることで会話のきっかけになって、自然に多様な関係性について話せるツールになる」という話をしてくれて、素直に嬉しかったです。

ひょう : カップルではなく、ひとりで買う人がいることに良い意味でびっくりしました。結婚指輪だからふたりで買うという固定観念があって。

大谷 : ひとりで生きていくと決めた人でも、授かり婚をして3人でも、もちろんふたりでも、多様な関係性があって指輪にもいろいろ形があるのが普通になれば、関係性自体が特別ではなくなるんじゃないかって思うんです。

ひょう : 新しい標準を作るって難しいわね…。でも単純にデザインかっこいいし、この指輪で繋がりを感じられていろんな関係性でも使える。そんなコンセプト、好きですね。

ひょう : 同性カップル、亡くなった相手、ペット。さまざまな関係性のプロダクトがありますが、改めて、パートナーシップとは何だと思いますか?

大谷 : 一緒に人生をつくっていく関係性だと思います。どの関係性も素晴らしいといっても、正直どこからどこまでが許されるのか結構考えましたが、"双方向の合意"、つまり、一緒に生きていく思いをお互い感じているかどうか、一方通行ではなくて双方向で関係性が成り立っているかどうかが大事なのかなと。 そうすると、ペットとは合意できるのかということになりますが、話せないだけで、接し方や仕草でお互いに必要かどうかは感じ合えるものなのかなと。それから、一般的に親子は幸せそうで美しい関係だと思われますが、行き過ぎた愛情などで苦しんでいる子どもたちも実際にはいるんだよと言われてハッとしたこともありました。

ひょう : 共依存の関係だったり親の期待で潰れてしまう子どももいたりしますよね。

大谷 : 関係性って、難しい。だからお互い対等な立場で意思を尊重できるかどうかが重要なのかなと。"自分が"選択したかどうかで、人の幸福度って大きく変わると思うんですね。だから双方が合意して決めた"意思ある選択"は誰にも評価されたりするべきものじゃないなって。

ひょう : 「意思ある選択によって生まれた関係性が祝福される世界」を作るために、今後どのような活動をしていくんですか?

大谷 : 幸せな姿ってどんなメッセージより強いと思うので、引き続き、記事では様々な関係性を体現して幸せに生きている人たちの姿を伝えながら、一緒にこのプロダクトを世の中に送り出したいと思ってくれる人が増えたらなと。指輪に関していえば、目に見えない関係性からインスピレーションを受けながら、もっと色んなデザインをしていきたいです。 それから、例えばウエディングカードはタキシードとウエディングドレスの組み合わせだったり、ペアルックは男女のイメージが強い物がまだ多かったりするので、そういう既存の「常識」になっていることを探って、新しいプロダクト制作に繋げていきたいです。

そう言って彼女は未来を見据えるような頼もしい笑顔を見せてくれた。 自分の人生、パートナーとの生き方は自分たちで決めること。それを尊重され祝福され、どんなパートナーシップの形でも美しい、みんながそう思える日が来ればいい。 この指輪を見ていると、そう思わずにはいられないのだった。

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