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献立アプリって女性向けでしょ?MENUSから返ってきた意外な答え

2018.11.05

次々に新しい献立アプリが登場する現在。女性である筆者はなんの疑問も持たずに使用していたが、よく見ると可愛らしいフォントや"インスタ映え"を狙った美しい料理写真が多い。

もしかして運営者には最初から「料理は女性がするもの」というジェンダーバイアスがかかっているのでは…?だとしたら、セクシュアリティやジェンダーの壁を世の中から少なくしていきたいPalette事業部として、ツッコミに行っても良いのでは…?

そんな思いを抱き、今回はDMM.comが運営する献立アプリ「MENUS」の運営事業部にインタビュー。「料理がテーマだし、女性のために作ってるんでしょ!」と安易に考えた筆者が触れたのは、事業部が持つ熱い想いだった。

左:運営を担当する金澤さん、右:事業部長をつとめる勝さん

(インタビュアー:中野 里穂)

中野:献立アプリのMENUS、献立や料理のアプリに関するまとめサイトで上位に掲載されていたり、SNSでも"便利なアプリ"として話題に上がったりしていますよね。

:ありがとうございます。おかげ様で毎日数万人のユーザーにアプリを開いてもらっています。

中野:でも正直、ジェンダーバイアスをなくすことを目指しているPaletteとして、ツッコミたいことがあって。ひとつお聞きしても良いでしょうか?

:はい、どうぞ。

中野:このアプリって見た目がかわいいし、「女性向け」なんですよね?「料理は女性がするもの」という前提のもとに…。

:…うーん、違いますね。

中野:(違う…?そう言われると、これ以上ツッこめないぞ…) では、もともとは誰のためのサービスなんですか?

事業部長の勝さんは、中野からの直球の質問に「違う」と言い切る。

:僕です。

中野:僕?…勝さんですか?

:ええ。もともとは、僕が家庭でご飯係を担うことになったのがサービスのきっかけだったんです。

中野:なるほど。勝さん、ご自宅では「ご飯係」なんですね。

:はい。僕は結婚していて子どもがふたりいるんですが、ふたりめが生まれたタイミングで妻と家事の分担を決めることになったんですね。そのときに僕が担当することになったのが料理と洗濯でした。もともと料理は好きで、家でケーキを焼くこともあったんです。でも、献立として料理を出したことがなかったんですよね。

中野:"献立"というと、一汁三菜のようなものでしょうか?

:そうです。それまでもパスタ、カレー、豚丼のようなメインとしての料理は作ってきていたんですが、栄養バランスを考えた献立は考えたことがなかったんです。妻が少しずつ教えてくれたんですがその工程があまりにも複雑で…。それをテクノロジーでどうにか解決できるんじゃないかと思ったのがきっかけでした。

中野:へー!すごい!私は"いやでも気合いでやる"という解決策しか思い浮かびませんが、それをテクノロジーでという発想がさすがです…。ということは、本当に女性のためではなく"自分のために"…?(笑)

:そういうことになりますね(笑)。僕が献立を作るために欲しかったものがサービスになりました。とにかく考える時間を減らしたかったんです。仕事が終わって帰ると、21時とか22時になってしまう。そこから献立を考えて作るってしんどいじゃないですか?

中野:たしかにそうですね。考えるのが面倒で、結局外食しちゃう人もかなりいそうな気がします。

:ではあらかじめ作るものがわかっていて食材が冷蔵庫にありさえすればどうでしょうか?帰ったら"作る"という行為をするだけで済みますよね。食器洗いや買い物は食洗機や宅配サービスが代行してくれるけれど、献立を"考える"ことを代行してくれるサービスってあまりなかったんです。「だったら自分でやっちゃえばいいじゃん!」と(笑)。

中野:勝さんは結婚当初から家事には主体的に関わっていたんですか?

:正直なところ、第二子が生まれるまでは「お手伝い」という感覚がどうしてもありました。第一子だけの頃も「やろう」という気持ちにはなっていたのですが、手伝っているという意識はなかなか抜けませんでしたね…。

当時を思い出してうつむきがちに…?

中野:奥様の方が子どもと長く接する家庭だと子どももパパのところよりママのところにいきそうですよね…。そうなると、パパも「お手伝いポジション」でしか登場機会がなさそうなイメージもあります。

:そうそう。子どもはどうしてもママのところに行くから、僕はママからの「あれして」「これして」を手伝う、というような関係性になってしまっていて。でも第二子が生まれたときに妻に言われたんです。「主体的になって当たり前のポジションだよね、お父さんなんだから」と。そこで考え方が変わり、"お手伝い"ではなく"主体"として家事に関わるようになりましたね。

中野:なるほど。"お手伝い"から"主体"に。これは奥様にとっても嬉しい変化ですよね。

:僕の場合はきっかけが"子どもが生まれたこと"でしたが、それが必ずしも子どもじゃなくてもいい。意識を変えるための何かしらのきっかけがあれば変われると僕は思っています。

中野:"何かしらのきっかけ"って、簡単なようですごく難しい気がします…。

金澤:いろんな人生の節目に「これから料理を頑張ろう!」という意識を持つだけでも、きっかけになると思うんですよ。

金澤:先日、「オトコの料理教室」というイベントを開きました。参加者の中には料理を頑張っているという男性だけではなく、興味はあるけど料理をする機会がなく、結婚前にチャレンジしてみようと思ったという男性も多くいたんです。

中野:誰かと暮らすということが、"自分も家事をする"というきっかけになるんですね。

金澤:そうです。若い参加者が多い中に、60代の方も数名参加されていました。会社勤めが終わって時間ができたから料理に挑戦してみようと思った、と。

中野:へ〜。ライフステージが変わることが料理に取り組むきっかけになるのは意外です。

金澤:アプリや料理イベントの運営に携わっていると、"家事は女性"という意識も少しずつ変わってきているように感じます。若い人だけではなく、年齢に関係なく世の中全体として。 だからこそ私たちは、この事業を通してより多くの男性と接点を持ち、家事に興味をもつ男性を増やしたいと思っていますね。

中野:積極的に家事をする男性、今よりもっと増えたらいいですよね!ゆくゆくは「オトコの」と言わずとも、当たり前に男性が料理教室に参加するようになったらいいなと、私個人としては思います。

男性向け料理イベントの様子

中野:ここまでのお話を通して、MENUSが決して"女性のため"に作られたものではないことがわかりました。運営のみなさんが、ジェンダーにとらわれずに事業をしているということも。

:「誰かのためにご飯を作る人」って素晴らしいじゃないですか。素晴らしいことをしているはずなのに、献立を考える面倒くささが苦痛に変わってしまったら悲しい。そうならないものを届けたいんです。

中野:おっしゃる通りだと思います。

:せっかく自分でご飯を作って体が丈夫になっても、作ることでストレスを抱えてしまったら健康的ではないですよね。作る人をそのストレスから解放したい。そこに男とか女とか、妻とか旦那とか、関係ないんです。僕たちとしても、そこにジェンダーバイアスをかけて欲しくない。「誰かのためにご飯を作っているすべての人」のために、運営しています。

料理は女性のもの。そんなジェンダーバイアスを通して考えていたのは実は筆者の方だったのかもしれない。勝さんと金澤さんは口を揃えた。「性別に関わらず献立に困っているすべての人たちに手にしてほしい」、と。

"イクメン"や"料理男子"がもてはやされる光景は少しずつなくなっていき、性別に関わらず家事や料理を自分ごととして関わっていく人が増えていく。MENUSへの取材を通して、そんな未来が見えた気がした。

MENUSにはレシピの検索だけでなく1週間つくりおきコラムや買い物リストなど便利な機能が満載。ふだんの献立を考えるときはもちろん、余った食材で一品作りたい、買い物リストをパートナーとシェアしたいなど、料理に関わるさまざまな場面で活躍してくれそうだ。

(撮影:星野 泰晴

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