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性性堂堂って、ホントに「正々堂々」?

2018.11.19

10代を中心に人気があるLGBTQ+のYouTuber集団「性性堂堂(せいせいどうどう)」。2017年5月から活動を始め、今ではオフラインでも活動も広げる。メンバーは、なかけん(Xジェンダー・アセクシュアル)、まるる(Xジェンダー・男性愛者)、ヒロキ(ゲイ)、ゆうい(MtF)、なとせ(レズビアン)の5人。そんな多種多様なセクシュアリティの性性堂堂のメンバー。どんな「正々堂々」ぶりなのか、お話を伺った!

(インタビュアー : ひょうちゃん)

左から ゆういさん・まるるさん・ ヒロキさん・なかけんさん(なとせさんは体調不良で急遽不参加!残念)

ひょう : なんか巷でうわさだけど、一体あんたたちどんな集団なのよ?ってことを聞きたくて!

なかけん : 仲良し集団でもあるけど、セクシュアリティの啓蒙活動もイベントなどでやっているので、サークルや単なる仲良し集団とも違うんですよね。

ゆうい : 具体的には、自分たちが経験してきたことや世の中に対する思いを動画にしたり。

ヒロキ : それでリスナーさんからの質問に答えたり。

まるる : そう。それから、オフ会を開催してリスナーさんと繋がったり居場所を提供したりとかですね。

ひょう : ふむふむ!その目的は当初からあったの?やっていくうちにそうなったの?

なかけん : 自然的だよね。最初ほんとノリで始まったグループというか。

ゆうい : 私たちって、全員セクシュアリティが違うんですよ。私たちが始めたころは、そんなにLGBTQ+のYouTuberもいなかったからせっかくだしって思って。これだけ違うセクシュアリティで集まるのってなかなかないから面白いんじゃね?なんかひと波起こそうぜ!くらいの感覚。LGBTQ+の問題に対しての熱量がみんな一緒だからこそここまでできたかな。ひとりでもベクトルや熱量が違ったらできなかったかもね。

ひょう : 普段、テーマ決めてから動画撮るの?それともおしゃべりしていくうちにテーマが決まっていくの?

なかけん : 生活の中での鬱憤や社会的にこれはいけないなど、普段感じてることを熱意と想いで動画にしてたんです。でも最近は伝えること自体も工夫しなきゃって気づいたから、テーマを事前に決めてから撮影する流れになっていますね。

ゆうい : 見る人が増えてくると下手なこと言えないから、内容も言葉もちゃんと選んで言わなきゃってのはあるよね。

なかけん・まるる : あるある。すごくある。

ゆうい : 見てる人も「動画で何が伝えたかったの?」ってなると見なくなっちゃうから、いろいろ喋っても必ずオチをつけて終わらせる。それでいて、自分たちの意見を押し付けることはしない。

ヒロキ : 結局決めるのは自分自身だからね。だから"自分たちの結論は"という形で締めてるね。

ゆうい : そうね。意見を押し付けたら性性堂堂の意味がなくなっちゃう。

なかけん : メンバーが5人いる分出てくるネタも多種多様というか、アセクシュアルの視点やレズビアンの視点、ゲイの視点とかいろんな視点があるから、ネタが一定にならないっていう強みがある。

ヒロキ : それはすごくいいよね。

まるる : 変化をつけられる。違いをうまく使えてる的な。

みんな : おぉ!すごい!!

まるる : これこそ本当の多様性っていう。

なかけん : ほんとだよねー。

普段の動画撮影とライブ配信の様子

ゆうい : 絶対こうすべきってことはないから、それを全力で伝えたい。だよね、なかけん?

なかけん : うん!

ゆうい : いわゆる"LGBTQ+"っていってもいろいろいるし、ゲイはゲイでいろいろ。アセクシュアルもアセクシュアルでいろいろ。

ひょう : そうなのよね、まとまりで見がちだからそこだよね。

みんな : そうそう!

まるる : 個人としての意見を省いてることがありますよね。

なかけん : わかるわかる!なんであんなに断言するんだろうって思う。"このセクシュアリティはこう"みたいなことをメディアで見かけるけど、"こうあるべき"って捉えちゃって、それにずっと苦しめられてきたんですよ。嫌だなって。

ヒロキ : あと不思議なのが、マイノリティの中で差別があること。どんなゲイがいてもいいのに。それに、ゲイとかレズビアンとかがアセクシュアルの人に対して「恋愛しないなんてかわいそう」みたいなことを平然と言ってるのをたまに聞きますね。

ゆうい : 無理して仲良くしなくてもいいけど、必要以上に攻撃したり否定したりはしなくて良くない?

ひょう : わかるわ。

ひょう : "性性堂堂"だから、"正々堂々"と言いたいことを動画で伝えられてる?

なかけん : 結論として、正々堂々と言ってるかというとそうじゃない。あんまり"正面切って"っていうのが好きじゃないの。ド正論を突きつける人って傷つける人でもあると思うんですよ。

ひょう : あー。

なかけん : 「自分がこうありたい」って言いすぎると、それを相手に強制しかねないから、100%は出さないで、オブラートに包んでニュアンスで伝えるくらいが傷つく人が出ないかなって。

まるる : すごいわかる。

ゆうい : そういう意味では、本当のことを言ってるかっていったら嘘。でもそれは大事な嘘で、別に全部言う必要はない。

ヒロキ : 嘘も方便。言って傷つく人が増えるのなら秘めておけばいいんだなって。

ひょう : 言わないからこそ相手を傷つけない優しさを持ってるのかしら?

ヒロキ : そうだと思う。

ゆうい : それがなきゃ動画やっちゃダメだよ。自分らが嫌な思いをしてるなら人の痛みを知って汲み取ってあげなきゃダメかなって私思う。わざわざ傷つける必要ないし。

ひょう : 性性堂堂で活動してわかったこととや学んだことは?

ヒロキ : 自分の中の"ゲイはこういう人"みたいなステレオタイプに気づけたことですね。それから、初めて他のセクシュアリティの人と関わって、「こういう人がいるんだ」とか「こういう人はこういう事で悩んでいる」とかも知れた。多様性っていうけど結局はひとりひとり違うんですよ。

なかけん : "居場所"が命を救うんだなって改めて感じました。前から居場所を作る活動をやってて、「この居場所は誰かのためになってるのかな」「救いになってるのかな」って正直疑問だったんです。だけど、動画で「すごく悩んでて自殺を考えたけど、動画見てだいぶ気持ちが晴れて、また学校に行けそうです」みたいなコメントを見て、活動で人助けができるっていう希望を見いだすことができてよかった。

ゆうい : 正直他のセクシュアリティには興味なかったんですよ。でも他のセクシュアリティの方と出会って、"認識すること"って大事だなって思った。物をフェアに、フラットに見れるようになったというか。ゲイはゲイの苦しみがあるし、それぞれでそれぞれの苦しみがある。いちいち優劣つけてた自分の愚かさや汚い部分にこの1年半で気づけて、すごく変われたなって。

まるる : 僕はいい意味で"LGBTQ+"って言葉がいらない見方ができたことですね。例えば、「あの人ゲイだ」とか「アセクシュアルだ」とか思ってたんですけど、多種多様で、数多くのセクシュアリティを持つ方にもいっぱい出会って、いい意味でよくわからなくなってきた。

なかけん : ほんとそう。

まるる : そうなると、セクシュアリティの名前がある必要性とか言葉のことを深くまで知る必要が無いなって。例えば小学生がつけている名札。あれ間近でまじまじと見ないじゃないですか。アセクシュアルっていう名札、みたいな。

なかけん : おもしろい、おもしろい(笑) 確かに!

ゆうい : 結局LGBTQ+って言葉がなくなればいいよね。今はあくまでもわかりやすくするために存在してるけど、それが当たり前になって、そのうちLGBTQ+とかアライとかなくなればいいね。

まるる : あとは、知らないセクシュアリティの人が来ても「どういうこと?何者?」みたいに思わなくなって、"あなたがどういう形であれ、なんでもいい。あなたはあなた、わたしはわたし"で、いい意味でどうでもよくなったし、セクシュアリティに固執しなくなった。

ひょう : それぞれの生き方があるからね。

なかけん : ゆういが前に言ってたことですごい印象的だったのが、"どうでもいい"の内容が変わったってこと。"知った上でどうでもいい"って思えるのは大きいよね。

ゆうい : "認識してどうでもいい"と"認識しないでどうでもいい"は全然違う。セクシュアリティの存在を認識してて「あぁおっけー」っていうのと「別にLGBTQ+なんて知らない」っていうのは全然違うよね。

まるる : だよね。性性堂堂をやっていくうちにそういうメッセージ性になった。"本当の意味で自由なんだよ""枠とかいらないよ"みたいな。

ゆうい : セックスしたきゃすればいいし、セクシュアリティ変えたければ変えればいいし、掛け持ちしたければ掛け持ちしていい。

ひょう : これからの性性堂堂の展望を教えてください。

ゆうい : 性性堂堂という名前はずっと存続してほしい!

なかけん : "輪を広げる"かなぁ。こういういろんなセクシュアリティのメンバーが話してる、それだけでも意味があることなんですよ。イベントをやったりライブ配信したり、とにかく"潰れてない""なくなってない"ってことをやり続けようって言ってます。

ゆうい : こうやって5人一緒に話していることがすべて。それが目標。

なかけん : だから常に目標達成してるよね。

まるる : でも将来わかんないよね、メンバーの脱退とか。

なかけん : 性性堂堂っていう"屋根"があればいいんじゃない?性性堂堂はあり続ける。セクシュアリティに対して前向きに肯定的に、だけど自由に、みたいなこのスタンスがある限りは。

ゆうい : 永久不滅じゃない?

ヒロキ : その通り!

ゆうい : 誰も壊せない。消せない消せない。

ひょう : ずっとYouTubeも残り続ける。

まるる : 10万年先まで(笑)

ゆうい : とにかく居場所を大事にしたい。みんながこうして集まって話して、楽しくお菓子食べながらゲラゲラ笑ってってのが崩れちゃったら終わりかも。そこが一番のかなめだわ。

なかけん : 登録者数と再生回数にこだわってそれが崩れたら本末転倒。

ゆうい : むしろそれに縛られなくなって再生回数とチャンネル登録者数も上がってきてるよね。

なかけん : 確かに確かに

ひょう : 居場所があって、悩み共有とくだらない会話ができるLGBTQ+の友人と仲良くして自尊心アップ、それが性性堂堂の意義なのかもね。

なかけん : 近いと思う。確かに自尊心アップしてるもん!

ヒロキ : アッパー集団。

みんな : アッパー集団(笑)

まるる : 自己否定撲滅運動アッパー集団!!(笑)

LGBTQ+学生の等身大の姿を見せる性性堂堂のメンバー。多種多様な考えに触れ、互いに認識できるようになり、きちんと話ができる。それが性性堂堂の魅力。そんな姿に筆者は感動した。これからも"人それぞれのやり方を尊重する"ことを活動を通して広げていってほしい。

(撮影:星野泰晴

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