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「あたりまえを、UPDATEしよう」大阪府人権啓発アイデアソン開催

2018.12.04

若者から「性のかたち」を捉え直す。

そんなメッセージのもと、大阪府内の大学生を中心に「LGBT」「性的少数者」に関する啓発コンテンツを制作するアイデアソンが開発された。

「そんな大学生たちはどのように考え、性のかたちを捉え直すためにどんなアイディアを創造するのだろう。」そんな思いからアイディアソンの様子を取材させてもらうことにした。

(リポーター:合田 文)

大阪府人権局の立案で始まったこのプロジェクトは、3部の構成。

まず10月14日、エントリーをして集まった大学生たちはLGBTや多様な性に関する講義や当事者の声などを聞き、アイディアソンを発表するチームにわかれる。ここから約1ヶ月間はブラッシュアップ期間。それぞれのチームがSNSアカウントを持ち、発信を続けながら自分たちの考えるアイディアを磨いていった。Twitterの"#jinkenson"のハッシュタグで、学生たちの投稿は確認できる。

今回Paletteが取材したのは、11月11日の"審査会&ゲストトーク"だ。この日は、各チームがブラッシュアップ期間を経て出たアイデアをプレゼンし、ゲストによる審査が下される日。なお、審査によって優勝したアイデアは大阪府と一緒に制作に向けて動き出す。それを目指して、学生たちが自分たちのアイディアを磨き、審査会でのプレゼンを通して優勝を狙いに行くのだ。

そして12月4日から10日は、人権週間としてそのアイディアをシェアしていく。大阪府が行う12月4日の人権週間のセレモニーでは、実際にカタチになった啓発コンテンツをメディアやSNSを通して世の中に発信。 コンテンツは大阪府のホームページにも記載される。

審査員には、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣氏、近畿大学広報部長の世耕石弘氏、大阪府立大学教授の東優子氏、女優・歌手・モデルの麻倉ケイト氏を迎えた。

5名から6名の5チームに別れた参加学生のバックグラウンドはもちろんさまざま。集まった中には、自らのセクシュアリティに課題を持つ学生もいたことだろう。今回のアイディアソンを通じて"性のかたち"を捉え直すというひとつの切り口からそれぞれのあたりまえをアップデートし、ひいては自分の周りや社会に対してあらゆる角度から人権啓発を訴えかけていく。

健闘した5チームのアイディアを紹介していきたい。

最優秀賞&チームワーク賞を飾った「NORI✕3」チームのアイディアは、啓発動画。

30秒程度の動画を制作し、拡散されやすいTwitterに投稿していくというアイディアだ。11月の頭に投稿された動画の再生は4万回を超えた。見た人たちの「カップル=男女というあたりまえ」に訴えかけ、アップデートするような内容に仕上がっている。


ダイレクトに知覚に訴えかける動画は、近年SNSコンテンツの中でも拡散されやすく、話題を呼びやすい。また動画の中で「あなたは」と問いかけることによって、内容を自分ごと化させ、考えさせられる内容になっている。直接見た人の常識を揺さぶることができるアイディアとして、審査基準の共感性、実現可能性、話題性持続性においても評価された。

インフルエンサー賞&審査員特別賞(麻倉ケイト様)には、「yummyナベ」チーム。 インスタグラムへの漫画投稿を通じて、ジェンダーやセクシャルマイノリティーの認知を広げるために、情報や疑問に思ったことを発信のことを伝える。そしてゴミ箱を投票箱にし、ゴミを捨てる人に問いかけをしていくアイディアだ。

審査員特別賞(世耕様)には、「肉民」チーム。 多くの人がコミュニケーションツールとして使うSNS、LINEで使える「アライグマLINEスタンプ」を考案した。アライグマには、LGBTQ+当事者たちを理解し、寄り添う意志を持つ人たち=Ally(アライ)という言葉をかけた。

「ももてん」チームは、個性豊かな旅のおとも診断というコンテンツを発表し、さまざまなセクシュアリティを持つ自分だけの「旅のおとも」を見つけられる診断の制作を考案。

「インスタ映え」チームは、性のあり方を考え直させるようなメッセージを載せたポスター&クリアファイルをつくり、高校生中心に広めるという案を発表した。

審査員をつとめた松岡氏は、LGBTや性のあり方という切り口をきっかけに、あらゆる"あたりまえ"を捉え直すことができる機会を学生たちが持つということが非常に意義のあることだと語る。

こうして1ヶ月もの間、今まで課題だとは知っていたけれど深くは考えてこなかった社会問題に対してとことん向き合い、さまざまな人の話を聞きながらアウトプットまで持っていくこと。それはおそらく彼らの価値観に大きな影響を与え、これからの人生の意思決定に新しい視点を与えた。そして、その新しくなった考え方やアウトプットを通じて、自分たちの周りにもあたりまえをアップデートする人を増やす"きっかけ"となっていくだろう。

主催された西井香織氏は、アイデアソンは「世の中の課題をアイデアで解決しよう!」というひとつのゴール向かってチームで議論し合い、行動につなげてひとつのものを作り上げるもの。その過程自体がワクワクするものなので、今まで社会課題に興味のなかった人たちを巻き込み、知ってもらえるツールだと語った。

また西井氏は今後もさまざまな社会課題(たとえばSDGsなど)を取り上げたアイデアソンを実施していきたいと考えている。

(撮影:漆原未代

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